真面目な独身女性ほど「便利な存在」にされる――京大院卒・49歳が公務員を辞めてニセコへ行った理由【谷口友妃】
ミドル独女~私たちのホンネ~ 49歳瑞希さんの場合
■モンゴルの草原で聞いた、赤ちゃんの泣き声
「この泣き方は、“満たされている子の泣き方”ですね」
2019年5月、瑞希さんはトナカイに乗れるモンゴルツアーに参加した。
現地住民のゲルにホームステイしたとき、夜泣きする赤ちゃんを見て、同行していた保育士がそう呟いた。
嘘をつけない子どもたちをみてきた保育士だからこそ、キャッチできた“違い”だ。

日本では、24時間コンビニに行けて、交通網も発達し、物質的な不足は少なくなっている。しかし、どれほど便利になっても心の乾きを感じている大人は多い。
一方、不便なモンゴルの草原で、家族に愛され、動物たちと共にある赤ちゃんの心は満たされていた。
幸せとは? それは持っているモノ、社会的地位や組織でのポジションとは関係がないことに気がついた。
「これまで必死に守ってきた『安定』は、私の心を満たしてくれているのか?」
この疑問が生まれた瞬間、瑞希さんのなかで「市役所で定年まで働く」という未来が、色褪せて見えた。
「このまま働き続けても、将来は管理職として議会対応でもしているのかな。それって絶対面白くなさそう」
そんなことを考えるようになっていた。
当時は仕事内容も人間関係も良好だったが、心の声は「NO」を伝えてくる。
やがて、朝起きると「今日も市役所に行くのか」という思いが湧いてくるようになった。休日に推し活を満喫していても、日曜日の夕方には職場に戻るのが憂鬱になった。
